エピソード42 耐震工事を考える

倒壊した建物=2024年1月2日午前8時10分、石川県輪島市、朝日新聞社機から、嶋田達也撮影© 朝日新聞社

最大震度7・M7.6という大地震が発生

1月1日は大変ショッキングな日となりました。

まずは被害にあわれた方やご家族にお見舞い申し上げます。

新年を迎え、新たな気持ちや目標を掲げる中、その気持ちを折られるような重さが伝わります。

それは現在起こっている世界での戦争ともどこか状況が似ているところがあるかもしれません。

私の暮らす鳥取県中部にも7年前に大きな地震が発生しました。

今回は今一度耐震工事について考えていきたいと思います。

建築士であり建設業者である私たちの役割は何でしょうか⁉

関係する法律の『目的』には

・『建築基準法 第1条』

  国民の生命・健康・財産の保護や公共の福祉の増進

・『建築士法 第1条』

  建築物の質の向上に寄与

・『建設業法 第1条』

  公共の福祉の増進に寄与

と、かかれています。

地震大国である日本の建築にかかわる私たちは、人の命を守る建築物をつくることが役割であり使命です。

2020年度住宅リフォームに関する消費者実態調査結果報告書(一社・住宅リフォーム推進協議会)にリフォームを実施した方へのアンケート結果が公表されています。

リフォーム検討のきっかけ

①設備の老朽化 39.6%

②壁・屋根等の老朽化 37.8%

・・・・・

・断熱への不満 8.5%

・地震による不安 5.1%

このアンケート結果からもわかりますが、私が日頃工事のご依頼をいただくときも、実感として同じことを感じています。

緊急性の高いものや、毎日使うものを優先してしていきます。

耐震が必要なことであることは、誰しもわかっているはずです。

しかし数十年に一度あるかないかの耐震工事は、限られた工事予算のなかで優先されることは、残念ながらほぼありません。💦

補助金もあるのですが、耐震診断からお家全体の計画をしていくので、工事は大掛かりになりがちです。

建築基準法が大きく改正されます。その中に、必要壁量の改定があります。

もともと耐震・耐風のため、筋かいなどが入る壁の量が定められているのですが、最近の建物の重量化に伴い必要壁量が増えます。

つまり、現行の基準で、現在建てられている新築のお家は、新しい基準では壁量不足になる可能性があります。まして、リフォームの場合、もともと壁量が不足しているうえ、外壁をふかしたり、断熱材を加えていけば建物重量は増え、揺れる地震力が増すことにもなります。

もちろん、耐震調査→耐震設計→耐震補強工事をするのが1番です。

現実的には、ご予算が限られ、施工範囲も小規模の場合が多く、その工事をする方はほんの一握りです。

ですが私たちが、あきらめて何もしないでは許されないと思うのです。

お家全体が平面図等で把握できる場合は、簡易的にも壁量の計算はできます。この結果によりこのお家全体でどれくらいの耐震壁量が必要かわかり、筋かい・合板等の補強計画が立てやすくなります。

 壁材をめくる工事の場合は柱頭柱脚金物の取り付けが可能です。この金物は阪神淡路大震災で柱の引き抜きによる倒壊が多かったことから、平成12年(2000年)に改正された内容です。それ以前に建てられたお家はこれらの金物は取り付けられていません。

 天井材をめくる場合は水平剛性を高める火打ち金物の設置が可能です。

基礎コンクリートと土台という木材はアンカーボルトで固定されます。このアンカーボルトが非常に少ないお家をよくみます。土台の端部や継手部など設置が必要な場所があります。アンカーボルトは地震力・風圧力が作用したとき、建物の浮き上がりや横ずれを防止します。ケミカルアンカー等を使い、後施工でも取り付け可能です。これも壁材をめくってはじめて確認や施工ができます。

これらのことはさほどコストも少なくて済みます。

ハウスクリバーはこれから、これらのご提案をしていこうと思います。