エピソード33 勝手にReNE-ST推進委員

昨年7月から始まった「とっとり健康省エネ住宅改修 Re NE-ST」ですが、令和4年度の実績は県内でなんと12件だそうです。

少なー💦

リフォーム専門店として開業したハウスクリバーとこの県の家づくりに対する考え方は同じですので、今回は勝手に推進員となって、これからどうしていけばよいのか、自分なりに考えてみたいと思います。

最初にお伝えしますが、鳥取県のNE-ST/Re NE-STの取り組みは全国でも先駆けており、ご担当者様のご尽力も大変なものです。この誇らしい県の取り組みを後押しするのが、私たちのような建設業者なのです。

Re NE-STが敬遠される理由

本当の理由は登録業者にアンケートをとってみないとわかりませんが、私がこの一年で営業・設計・工事しながら感じたことを挙げてみます。

①断熱工事の優先度が低い

②お客様の要望する工事内容・予算と合わない💰

③工事が困難💦

④申請がめんどくさい

⑤補助額が少ない💷

①断熱工事の優先度が低い

リフォームのきっかけは、お家のどこかが悪くなっているところの修理です。水回りであったり外壁の塗装のような部分です。悪いところだけ治すのが一番工事費は安価です。大きなリノベーションのようなお家全体の工事でなければ断熱工事は後回しにされます。

②お客様の要望する工事内容・予算と合わない

①と同じようなことになりますが、こちらがいかにRe NE-STのご提案しても、当然お客様のご予算と大きな差があるようでは、採用されることはありません。

③工事が困難

計画通りにいく新築工事と違い、リフォームは建てた大工さんによって納まりが違い、解体してみないとわからないことがたくさんあります。

ある程度こうなっているだろうと予想しながら進めていくのですが、断熱・気密の納まりは繊細であるため、思いがけない手間が増えることもあります。

④申請がめんどくさい

どの補助金の申請もそれなりに手間はかかります。Re NE-STではお家のUA値の計算書やその根拠となる面積表が必要です。工事中も必要な図面であればまだいいのですが、申請のため(お客様への説明の根拠にもなりますが)の作図に結構な時間を費やします。

⑤補助額が少ない

これまでゾーン改修で2件申請をしました。上限は100万円。補助額は1件は462,000、もう1件は353,000です。いま注目の先進的窓リノベ事業やこどもエコすまい支援事業と比べると、すこしさみしい金額です😢

じゃーどがにーするー

このようなことを考えてみました。

①脱炭素社会の実現を目的とする(Re NE-STは手段)

 「県民の安全・健康な住まい」を目指すのは、県・市町村・建設業者共通の使命ではあると思いますが、「地球の健康」無しでは実現できません。あと27年後である2050年に気温上昇を1.5℃以下に抑え、CO2排出を実質的にゼロにする必要があります。

脱炭素社会の実現のための「手段」としてNESTやRe NE-STを位置づけることによって、全く発想が変わってきます。行政・建設業者・お客様の意識が変わると、なぜ断熱工事をすすめる必要があるのか、だれにでもわかりやすくなります。

②健康・快適な住まいと地球環境への配慮は同時進行(持続可能な進め方)

 脱炭素社会の実現を目的にしても、実際お金を支払うのはお客様です。お客様のご要望を実現しなくては、私たち建設業者も商売として成り立ちません。現実的には、「健康な住まい」と「健康な地球」は常にセットで考えることが、持続可能なすすめ方になると思います。

参考)エピソード26 プラネタリーヘルス | ハウスクリバー (housekliver.co.jp)

小さな工事であってもきちんと断熱性・気密性に配慮した工事を提案することが大切ではないでしょうか。

③補助額のUP

 とはいえども、お客様のご予算で、最終的に工事内容が決まります💦

 補助金頼みでいいのかは別として、建設業者側もお客様も補助金には敏感です。金額が大きければ、メーカーも動き、社会全体で注目され、既存住宅断熱化の起爆剤となります。

 現在の先進的窓リノベ事業など、国の補助事業が大変盛り上がっていますが、その一番の理由は大きな補助額だと言えるでしょう。窓だけで最大200万円もあります。私が担当させていただいた物件でも補助額の最高は約80万円でした。Re NE-STでも上限は大きいですが、実際の補助額が増えるよう、もっと採用範囲を広げたり、補助対象工事の内容の見直しもお願いしたいところです。

工事が面倒であるのは、仕方ないですが、断熱・気密工事の需要が増えれば、自ずと工事経験も増え、面倒に感じなくなります。申請に必要な各図面・計算書も工事による断熱性能のUPをお客様にご説明できる資料作りであると考えれば、面倒さも無くなります。

④ゼロカーボンタウン構想

 鳥取県はゼロカーボンシティ宣言をしています。私の住む倉吉市も同じく宣言しました。

 倉吉市「ゼロカーボンシティ」宣言について | 倉吉市行政サイト (kurayoshi.lg.jp)

 今度は町単位で脱炭素化に向けたいい意味での競争ができないかと思っています。

 個人レベルではなく、町で暮らす人たち全体のCO2排出量を減らす試みです。個人差・意識差があります。自分たちの愛着ある町内で勉強会をしながら、全体の意識のボトムアップもはかれるのではないでしょうか。

なにか目標値をあげ「ゼロカーボンタウン宣言」をした町には、補助金を出したり、公民館に太陽光発電や蓄電池を設置してあげるとか、Re NE-STの補助率を上げたり、無料で現状のUA値計算・電気代シミュレーションをしてあげるとか・・・・・

個人レベルでの啓蒙活動には限界があると思います。なにか仕掛けが必要なんだと思います。

高知県黒潮町の耐震化普及が町単位で盛り上がってすすめられたと聞いています。何かヒントになるのではないでしょうか。津波で流されてしまうのに…耐震化急増 なぜ?|災害列島 命を守る情報サイト|NHK NEWS WEB

⑤本気で考える人と企業の協議会

 県内にも様々な団体が、各業界でできる地球環境問題やSDGsに対する取り組みをしておられます。それぞれの団体での立場・しがらみや人手不足もあり、なかなか本気で取り組みたくてもできない状況はありそうです。また、その会に属していれさえすれば、地球環境やSDGsに対して何かしていると思われやすく、世間体もよい、と考える会社もあると思います。

 一人の力や一企業の力がバラバラでは自己満足で終わってしまうかもしれません。鳥取県における脱炭素社会の実現を目的とした協議会、業界の垣根を越えた本気で取り組みたい人や企業を一般公募して仲間を増やしていけば、大きな力になるはずです。建設業界のためではなく、Re NE-STが脱炭素社会実現という目的を達成するための手段であるならば、受け入れられます。

以上、勝手にRe NE-ST推進委員からの提案でした!