エピソード18 省エネリフォーム 壁・天井編
先回に引き続き、壁・天井の断熱・気密工事のご紹介です。
この工事の中で、特に重要なのが『施工の手順』です。工法や選択する断熱材により変わってきます。今回は壁に高性能グラスウール・天井にセルロースファイバーを入れます。
お家全体を断熱材で包み込む工事ではなく、居住・水回りに限定したスペースを断熱材で囲い込むゾーン断熱で計画しています。
基本的な手順は①ゾーン断熱で区画する壁に断熱材を充填⇒②壁に気密シートを張る⇒③天井下地組⇒④天井に気密シートを張る⇒⑤天井に断熱材を吹込み となります。
①壁に断熱材を充填
今回使用しているのは高性能グラスウール16K・t105mmです。隙間ができないよう、丁寧に入れていきます。床や既存の木材の取り合いで隙間ができそうなところはあらかじめ、ウレタンスプレーなどで処理します。
②壁に気密シートを張る
調湿型の気密シートを張っています。シートの幅は1.5mで、縦張りにすると一人でもたるみなく張っていけます。シートを貫通する電気配線やコンセントボックスの気密処理を専用部材や気密テープ等で処理します。
③天井下地組
壁に張った気密シートに野縁という木材がくっつきますが、順番を逆に施工すると、取合いの気密工事がとても困難になります。また間仕切と天井の取り合い部分は施工が一番難しく、天井の下地と高さを合わせた木材を間柱や柱間に入れていきます。小屋裏からの空気の流入を防ぐのと、貫通する配線の気密処理がしやすいこと、天井に張る気密シートのジョイントがしやすいことがメリットです。
④天井に気密シートを張る
天井にも調湿型の気密シートを張っていきます。②で気密シートを張った壁との取り合いはシートを折り返して、気密テープを貼ります。間仕切の部分は手間がかかりますが、気密テープやコーキング・ウレタンスプレーなどで一つ一つ処理をしていきます。
⑤天井に断熱材を吹込み
今回はセルロースファイバーを310mm吹き込みます。ゾーン断熱区画のUA値上は、高性能グラスウール155mmを2重敷にしても良かったのですが、細かい隙間まで入っていくブローイングによる工法を選びました。注意点としてはダウンライトや天井点検口の取り合いです。穴をあけたり、ふたを開ければセルロースファイバーが落ちてきます。あらかじめダウンライト専用の気密・断熱ボックスやふところの深い天井点検口の取付が必要です。
私は今まで多くの新築工事も経験してきました。高い断熱性・気密性が求められる工事は後では見えないところに手間ひまがかかります。そこには職人さんのたゆまぬ努力と苦労、魂がこめられています。それらのことはリフォーム工事でも全く同じです。
お客様もお家も喜んでいただける工事がしたいですね!